【Interview07】SOFTBANK TELECOM VIETNAM CO., LTD.

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「英語ができる」イコール「営業ができる」ではない。飛び込むことで得られる確かな経験

 

優秀な人材が多く、ベトナムには挑戦できる土壌がある

松島:本日はお忙しい中、お時間をいただきましてありがとうございます!

本日は、御社の事業内容や取り組み、そして“人”について、お話をおうかがいしたいと考えています。

 

森本社長(以下、森本):はい。よろしくお願いします。

 

松島:まず、御社の事業について。なぜベトナムなのか、いつ開始されたのか、立ち上げ期のことについて、教えていただけますでしょうか。

 

森本:ベトナム法人を立ち上げたのは、2012年、約4年前です。その前は弊社のアジアの拠点としては中国、タイ、インド、シンガポールの4ヵ国にしかなかったんです。主には、ソフトバンクの国際回線を使っているユーザー様の保守サポートをメインに行っていて、現地で営業をかけてビジネスをするようなモデルではありませんでした。

ただ、それだけではなく、現地できっちり営業をして、黒字化できるビジネスを作っていこうという戦略もあり、カバーエリアを広げるためにもインドネシアと同タイミングでベトナム法人も立ち上げました。

 

softbankVN_interview1_森本社長

 

松島:そうだったんですね。その戦略の中で、どうしてベトナムだったんですか?

 

森本:次にどこに拠点を出すかという話が出てきて、ASEAN各国をリサーチしました。フィリピン、マレーシア、ミャンマーあたりも。ですが、その当時の日系企業の数と、今後増えていくであろう数、期待値の高さでインドネシアとベトナムを選ぶことになりました。

 

松島:当時のベトナムは、どんな状況でしたか?

 

森本:私が初めて来たのは2011年くらいでしたが、日系企業、主に製造業のお客様はかなりの企業数がすでに進出されていました。かつ、年間で100~150社くらいの企業が新規で進出していて、ベトナムにとってはまさに日系企業がどんどん進出した時期だったと思います。

 

松島:なるほど。当時から含めて、ベトナム独自の事業はどのようなことをされていますか?

 

森本:現状でいうと、何か独自な事業というものはありませんが、今後のビジョンとして、今まで中国にあったソフトバンクの社内システムのオフショアであったり、BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)と呼ばれている、たとえば日本の携帯の申込書内容の打ち込み業務みたいなものは、今後その一部をベトナムに移管していく可能性はあります。

ベトナムはやっぱり他のASEAN諸国と比べると日本語スピーカーが多いということと、ITエンジニアの数が非常に多く、優秀な方が多いので、色々と挑戦できると思っています。

 

 

21ヵ国語を話すNAOをベトナムでも展開

松島:メディアでも結構紹介されていますが、ロボットビジネスもベトナムで展開されてますよね?

 

森本:はい。ベトナムでも取扱いを開始したロボットの「NAO(ナオ)」は、21ヵ国語話すことができます。

 

NAO(ナオ)_ソフトバンク
※ロボットの「NAO(ナオ)」

 

松島:へぇー! 21ヵ国語も! PepperとNAOの違いはどこにありますか?

 

森本:PepperはクラウドAIや感情エンジンが搭載されているのですが、NAOは搭載されていません。そこが大きな違いですね。

 

松島:そうですか。Pepperは、日本では小売店の受付や案内などで見かけたりしますが、ベトナムでのNAOについては、お客様はどんな目的で購入しているのでしょうか?

 

森本:NAOは、言語が使えるので学校や子供向け英会話スクールなど、いわゆるB to A(Business to Academy)の場面で使用されています。また、企業プロモーションの場面でも使っていただいていますね。先日もジャカルタで開催された「Cool Japan Travel Fair」に呼んでもらい、NAOはダンスを踊ったりしました。

 

松島:イベントでも抜群の集客力がありそうですね。

 

森本:そうですね。楽しんでいただけていると思います。

 

 

家族の話や食事の話まで。こまめなコミュニケーションを取る

松島:次に、 “人”という切り口でお話しをうかがいますが、森本さんがいらっしゃった4年くらい前のベトナム人の方たちの動きは、今と比べて何か違いはありますか?

 

森本:そうですね。当時は、まだ「日系企業で働く」ということ自体がステータスになっていた気がします。今でも日系企業で働くことは、多少の憧れはあるのだとは思いますが、当時は“日系企業”というだけで、採用においては人が集まったような印象があります。最近は、日系以外の外資系企業も含めて、皆さん見比べているような気がしますね。特に優秀な方は、“日系企業”というブランドだけでは採用しづらくなっているように感じます。

 

松島:たしかに、私たちが採用のお手伝いをする中でも、感じる部分ではありますね。マネジメントの場面でも変化は感じますか?

 

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森本:そうですね。正直、来たばかりの頃は右も左も分からない状態で、ベトナム人をオペレーションすること自体がソフトバンクとして初めてだったので、手探りでした。今はさすがに4年やってきたので、どうやってベトナム人社員のモチベーションを高めるかといったような、一緒に働く方法はそれなりに分かってきたように思いますが。

 

松島:社員のモチベーションを高めるためにベトナム人、日本人問わず、森本さんが意識していらっしゃることはありますか?

 

森本:できるだけベトナム人と日本人の壁を作らないようには心がけています。飲みニケーションもそうですし、小さな所帯でやっているので、雑談も含めてこまめにコミュニケーションを取るようにしています。

 

松島:なるほど。コミュニケーションの取り方は、日本人とベトナム人で異なるものでしょうか?

森本:日本人よりベトナム人の方が、家族の話とか、食事の話とか、本当に雑談と言われるようなことも話すと喜んでもらえるように感じますね。

 

 

ローカルに何がウケるのかは、ベトナム人が一番よく知っている

松島:そうかもしれませんね。ちなみに、御社の組織構成は、現在どのような感じなのでしょうか?

 

森本:初めは私が1人で来て、1人目のベトナム人の採用から私が面接をしていました。

現在は、ハノイとホーチミンに拠点があって、駐在員は1名ずつ、現地採用の日本人はハノイが1名、ホーチミンには2名います。ベトナム人はハノイで6名、ホーチミンに7名ですね。そんな組織構成です。

 

松島:どういった部分をベトナム人メンバーが担っているんですか?

 

森本:そうですね。日系企業にサービスを売る場合は、日本人が音頭を取って営業していくのですが、今後ローカル企業にもアプローチしていく際に、ローカルには何がウケるのか、というのはもちろんベトナム人が一番良く知っているので、そういった点で重要ですよね。

たとえば、先ほど紹介したように、ベトナムでロボット事業を行っていますが、じゃあ、ロボットに何をさせたらベトナムではウケるのか、という感覚は当然私たち日本人よりもベトナム人の方が優れています。そういうアプリケーション作りは、すでにベトナム人のアイデアに任せてやっています。

 

 

日本との違いは、お客様との距離感の近さ

松島:ベトナムでビジネスを行っていく上で、そのような協力は欠かせないですよね。

そもそも森本さんはベトナムに来られる前は、どのようなご経歴をへてきているのでしょうか?

 

森本:新卒で2005年に入社しました。ソフトバンクが大量採用していた時期で、同年代で2,000人くらい採用をかけていたタイミングです。孫正義の名前は知っていて、採用のセミナーに行ってみたら面白いなと感じて。それで面接を受けて、入社しました。

一番最初は量販店のチームにいて、「Yahoo! BB」というADSLサービスのプロモーションをやっていました。街中でモデムを配ったり。

 

松島:なるほど。ずっと営業畑ですか?

 

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森本:そうですね。もうずっと10年営業です。最初はコンシューマー向け営業で、2年目以降は法人向け営業をやっていました。

 

松島:そんな営業一筋の森本さんから見て日本と海外での営業の違いってどんなことがあるように思われますか?

 

森本:そうですね。日本と海外の大きな違いは、お客様との距離感ですね。海外の場合、日本よりお客様との距離が近い。プライベートでどこか飲みに行くとか、ゴルフをしに行く機会は、日本よりはるかに多いと思うんです。そういうコミュニケーションが密な部分が苦手だと結構嫌になってしまうかもしれないですね。

 

松島:人と人との繋がりはかなり強いですよね。

 

森本:はい。この間の連休の時にも、アンザン(An Giang)というカンボジアとの国境沿いの、ものすごいローカルエリアにお客様と行ってきました。お客様の地元らしく「一緒に行こうよ」と言っていただいて。

 

アンザン(An Giang)

 

松島:面白いですね。

 

森本:そのアンザンは、結構遠くて車で5時間くらいの国境沿いにあるところでした。お客様のお父さんとお母さんと食事もご一緒させていただいて、楽しかったですね。

 

松島:なかなか取引先企業の方の実家に行くことなんてないですよね。

 

森本:そうそうそう。一緒に行くと喜んでもらえるんですよ。

 

アンザン(An Giang)2

 

 

海外営業は、英語ができないからといって諦める必要は全くない

松島:森本さんのお仕事での海外との関わりは、このベトナム法人の立ち上げの話があってからですか?

 

森本:実は最初はタイに行きました。もともと私が日本にいた時の営業部長がASEANのマネージャーになる時に「お前も来るか」という話になって。ベトナムは当時はなかったので、最初はタイに行きました。それから3ヵ月後くらいにベトナム法人が出来上がったので、横滑りでベトナムに来た感じです。

 

松島:海外に出るということで、身構えたりしましたか? それとも楽しみだったとか。

 

森本:楽しみは楽しみでした。ただ、その時はたいして英語もできなくて。日系企業、つまり日本人相手の営業だとは分かっていましたが、行った当初はタイ人とのコミュニケーションに苦労しました。何からしたらいいんだろうと最初は戸惑うこともありましたね。

 

松島:“英語”というキーワードは、海外で働くことを考える際に、避けては通れないですよね。そこがネックで海外で働くことを諦めてしまう人もいたり。

 

森本:私も来たばかりの頃はビジネスの話ができるレベルでは全然なかったですからね。

 

松島:現場でちょっとずつ鍛えていったということでしょうか?

 

森本:そうですね。ただ、うちの会社でもよく言っているのですが、英語はしょせんコミュニケーションツールのひとつに過ぎないので、話せるに越したことはないですが「英語ができる」イコール「営業ができる」ではないんですよね。なので、別軸で考えた方がいいかなと。英語ができないからといって諦める必要は全くないと思います。

 

松島:ありがとうございます。今、英語がハードルで悩んでいる人たちにとっては、心強いお言葉です。

 

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日本企業流のやり方は世界のスタンダードではない

松島:御社では、どんな人がベトナム人、日本人を問わず、活躍されてますか?

 

森本:そうですね。ソフトバンクが最新のテクノロジーを実践していく会社なので、やっぱりITに興味関心がある、常にアンテナを張っているような方ですね。かつ、うちの会社はすごく変化が激しいので、その変化に対応できる人ですね。

 

松島:入社後の育成やキャリア形成も各社課題を感じていらっしゃることが多いと思うのですが、御社はいかがですか? 入社後、その人を伸ばしていく体制などはありますか?

 

森本:今まさに作っているところです。日本人の方は、ずっとベトナムに居続ける人は少数派なんですよね。ベトナムに何年かいて、他の国に行ったり、日本に戻ったりというキャリアプランを描いている人がほとんどで。でも、ベトナムでソフトバンクに入りました、でも、違う国に行くので辞めます、日本に帰るから辞めます、というのはすごくもったいない。日本や他国へのキャリアパスは、今用意しているところです。

 

松島:他国でもキャリアを積んでいける、というのを見せるのは、大切なことですよね。海外で働く上で日本人が求められる要素って何だと思いますか?

 

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森本:そうですね。日本人のやり方であったり、日本企業流のやり方というのは、世界では特殊なんだよと、スタンダードではないんだよ、というのをきちんと理解できる人かと思います。郷に入っては郷に従えで、その国のやり方にきちんと馴染んでいけるような人、環境に対応できる人というのはマストですね。

 

松島:きちんと環境に合わせて柔軟に対応できるかどうかが重要ですよね。

 

 

海外に行ってどうなりたいのか、ビジョンを持たないともったいない

松島:では、最後に、海外転職を考えていらっしゃる日本の皆さんにアドバイスをいただけますでしょうか。

 

森本:私自身、海外に出ていろんな人に会って、経験をさせてもらって、価値観がものすごく変わりました。日本を出ることで逆に日本の良さを知るということもすごくあって、自分自身変化できたなと思います。先ほどお話したように、英語ができないからといって縮こまるのではなく、まずどんどん行ってみて、経験を積むのは確実にプラスになると思いますね。

 

松島:勇気を持って一歩を踏み出す、ということですね。

 

森本:ただ、やっぱり海外に行くことが目的になってしまうのはずれていて、海外に行って最終的にどうなりたいのか、というビジョンがないともったいないと思うので、そこは気をつけてもらいたいと思います。

 

松島:おっしゃるとおり、海外に出ることが第一目的になってしまっている場合、続かないということもよくありますね。

 

森本:あと、弊社を受けてくださる候補者の方から「日本人の先輩がいないと不安」と言われることがあります。ただ、日本人が多すぎると、日本で働くのと何が違うのかなと個人的には思っていて。別に日本人同士でつるむのが良い、悪いということはないのですが、折角現地に来ているのであれば、現地の人もそうですし、そこに来ている他の外国の人とどんどんコミュニケーションを取っていった方が、プラスになるんじゃないかなと思います。

 

松島:折角なら、その環境を活かして成長していきたいですよね。

本日は、非常に貴重なお話をありがとうございました!

 

森本:こちらこそありがとうございました。

 

<取材協力先企業>

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SOFTBANK TELECOM VIETNAM CO., LTD.

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■Interviewer

ICONIC Co., Ltd.
HRR supervisor:松島 岳

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■writing

ICONIC Co., Ltd.
石島 麗子