【Interview03】TECHBASE VIETNAM COMPANY LIMITED

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多様性を受け入れ、かつフラットに理解する思考力が重要。

 

日本No.1のポータルサイト、Yahoo! Japanの戦略的 開発拠点。

 

松島:早速ですが、Tech Base Vietnamは何をされている会社なのか、ご説明いただけますでしょうか。

 

白川:弊社は、Yahoo! JAPANのサービスとYahoo! JAPANの社内で使う社内ツールの開発をする会社です。

 

松島:Yahoo! JAPANさんの開発拠点ということですね。

 

白川:そうです。例えば今やっているものだとYahoo!ショッピング、ヤフオク!、Yahoo!ニュースであるとか、あと動画のサービスでGyaO!というサービスがあるんですけど、そういったものですね。Yahoo! JAPAN自体は100以上のサービスを持っているので、ベトナムで実績を重ねていくうちに、さらに開発する案件は増えていくと思います。

 

松島:今はどれくらいのサービスをこちらで開発されているんですか?

 

白川:今ですと、まだ5個ぐらいですね。100のうち5なので、5%。

 

松島:逆に言うと、これからもっと増えていく可能性があるということですね。

 

白川:できれば半分くらいのサービスをこちらで開発できるといいんじゃないかなと。僕の個人的な目標なんですけど、そう思っています。

 

松島:それは楽しみですね!さらにお聞きしたいのですが、なぜこのタイミングなのかということと、なぜベトナムなのかということを教えていただけますか?

 

白川:2013年の10月ぐらいに、僕はショッピングカンパニーというところに所属していまして、その時の上司がエボラブルアジアのCTOの藤田さんとお知り合いで、ちょっとベトナムに行ってくるという話になったんです。

エボラブルアジアさんを見学して、感じるものがあったんだと思います。その上司はいいかもと感じたらまずはやってみるというのを生きがいにしているような人で。

それでベトナムでやってみようという話になって、まずトライアルからスタートしました。そのトライアルで効果があることが実感できたので、拡大することになったという経緯ですね。

松島:正式にスタートされて1ヵ月ちょっとかと思うんですが、御社が考えるベトナムに進出したメリットなど、現時点ではどう感じていらっしゃいますか?

 

白川:もちろん人件費という部分はありますが、ベトナムにはIT人材がたくさんいるのは大きな魅力ですね。また、Yahoo! JAPANは比較的日本人が多い会社なので、英語圏の人とのコミュニケーションよりも、比較的近い、ベトナムの人たちとのほうがコミュニケーションをとりやりやすいというメリットも感じています。

 

松島:そんな中で、御社は戦略として、これからどういった事業を強化されていくお考えでしょうか?

 

白川:我々は、Yahoo! JAPANの仕事が100%の会社ですので、Yahoo! JAPANの発展を加速させる会社になりたいと思っています。

 

松島:加速、Yahoo! JAPANさんらしい言葉ですね。

 

白川:Yahoo! JAPANが日本国内だけの開発力を持ってサービス展開する予定を、ベトナムの拠点ができたから前倒しできたねとか、上ブレしたねとかと言われるような会社になりたいなと思っています。

その為には、やっぱり品質面の向上と、もう1つはある程度ボリュームがないと、Yahoo! JAPANという大きな会社のインパクトにはなりづらいと考えています。品質の確保と、ある程度の規模を作っていきたいなと思っていますね。

 

松島:単純にオフショアという意味だけではなく、それ以上にアグレッシブに仕掛けていきたということですね。

 

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開発するだけではなく、サービスやユーザーを意識できるようになってほしい。

 

白川:そうですね。最初は会社のビジョンを、「優れたソフトウェア開発会社になろう」というビジョンにしていましたが、先日アップグレードしまして。

単純にソフトウェアを開発する会社じゃなくて、やっぱり「サービスを開発する会社になろう」と考えています。仕様書をもらって、仕様書通りに物を作って、以上終わり、ではなくて、Yahoo! JAPANとワンチームになってサービスを良くしていく。

サービスを使うユーザーを意識した開発ができるメンバーになってほしいと考えているので、ただ開発するだけではなく、サービスに興味を持ってもらって、さらにキャリアアップができる、そういう会社になりたいなと思いますね。

 

松島:ついつい私たちも「IT人材」と考えた時に、求められるスキルだけで人材を考えてしまいがちですが、御社が作っているものが日本の、例えば東京に住んでいる人の手の平のスマートフォンの中で、実際に人々の生活を豊かにしてるわけじゃないですか。

そこまでイメージして、やりがいを持って携わってもらうということを意識しなければいけないと思うのですが、白川さんはそのあたりで工夫されていることはありますか?

 

白川:まだまだ伝えきれてはいませんが、まず何の為にやるのか、どうしたいのか、その開発が終わった時の結果、という部分を極力インプットするように意識しています。そして、その後具体的にどうなったかのフィードバックは必ずするようにしています。

そして、Yahoo! JAPANの決算発表とか、Yahoo! JAPANが外に公開する情報があるので、それをサマライズして、メンバーに共有をしています。

みんなで一緒に働いている、Yahoo! JAPANという会社が今こういうコンディションにある、こういう方向性に向かっている、そして僕たちはここに貢献しているんだというようなことを、メッセージングするようにしていますね。

 

松島:素晴らしいですね。それが個々のスキルをさらに引き出し、モチベーションアップになれば、ということですよね。

 

白川:できればいいですよね。

 

松島:一方で、難しい部分もありますか?

 

白川:ベトナムのエンジニアはスペシャリスト思考が強いと思うんですよね。エンジニアだったらずっとエンジニア、みたいな感じで。

 

松島:なるほど。それは良くも悪くもな部分でしょうか。

 

白川:そうそう。そういったスペシャリスト思考が強い人に、サービス開発をするんだと言った時に、どこまでそのメッセージが影響力を持っているんだろうというのは、ずっと思いながら話しています。でも、何人かだけでも気づいてもらえればそれでいいと思っています。

日本のエンジニアでもそういうことに興味が無い人はいるので、割合の問題だと思います。興味を持ってくれた人は、そういう仕事もやってみようよという成長のチャンスを提供できる会社になれたらいいかなと。

 

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オフィスのコンセプトは「従業員に愛され、コミュニケーションを活性化できる場所」

 

松島:御社のFacebookでお見かけしましたが、社内で日本語教室を開催されて、白川さんが教壇に立たれるなど、会社として高いモチベーションで働いてもらう為に、様々な施策を打ってらっしゃるようですね。他にもこのような取り組みはありますか?

 

白川:実は僕たち会社が仕掛けていくというよりも、比較的従業員のみんなが飲み会をやったりとか、誕生日のプレゼントをみんなで出し合ったりとか、自主的にやってくれているんです。

 

松島:すごいですね!コミュニケーションをとりやすい環境作りをする意識がかなり浸透している感じですね。オフィスの作りもそこを意識されたのでしょうか?

 

白川:はい。ここのオフィスを設計する時に、まずコンセプトが2つあって、従業員に愛される職場になりたいということと、もう1つはコミュニケーションを活性化できる場所でありたいということがあり、こういう形にしました。

 

松島:なるほど。卓球台があったり、コミュニケーションしやすいオフィスになっていますもんね。社内コミュニケーションが大事なのはどの業界も当然だと思うのですが、ITという業界においては、どれだけ大切なものなのでしょうか?

 

白川:ITということだと、Yahoo! JAPANのサービスは、やっぱり大規模なんですよね。使っていただいているユーザーの方も多いので、機能の数とか、トランザクションと呼んでいる流れるデータの量も多いので、ソフトウェアの規模が大きくて複雑なんです。

さらに、それを載せているサーバーの数もすごく多くて、個人プレーではサービス運用ができないのですね。なので、チームワークを前提とした開発、運用になっています。

チームワークを支えるのはコミュニケーションですよね。ご飯を食べる時には話ができないけど仕事になったら突然話ができる、というのは難しいと思うので、普段からのコミュニケーションを大切にしようということで、オフィスのコンセプトとして設定しました。

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迷ったらマイルドじゃなくてワイルドで行け。

 

松島:なるほど。Yahoo! JAPANイズム的なところが御社にはあると思うのですが、やはりベトナムという環境でも、その部分は大事にしていますか?

 

白川:もちろん意識していますね。Yahoo! JAPANでは、4つのバリューを設定しています。1つめは「課題解決」。世の中の課題を解決しましょう、世の中を便利にしたいということです。2つめは「爆速」という、爆発的な速度で物事を進めること。3つめは「フォーカス」です。様々なことを同時に進める時にこれだと決めてフォーカスして進める。最後は「ワイルド」です。「迷ったらワイルドなほうを選べ」というYahoo! JAPANの現社長語録があるくらいでして。ワイルドの逆はマイルドだという。

 

松島:なるほど!マイルドは選ぶなと。

 

白川:迷ったらですよ、迷ったらマイルドじゃなくてワイルドで行け、という言葉があって。それが僕たちの価値なので、これはベトナムでも浸透させていきたいです。

僕もそう仕込まれてきたので、たぶん僕から発信するメッセージはそういう風になっていると思いますね。

そういった価値観は続けて伝えていきたいと思っています。ただやっぱり人事制度とかは、日本と同じようにやるだけではだめだと感じています。そこは現地にカスタマイズしながら進めています。

 

松島:会社として大切にされているところと、でもローカライズをしていかないといけない部分もある、このバランスを見極めながらという感じなんですね。ありがとうございます。

ちょっと話を変えまして、白川さんはどのような経緯でベトナムにいらっしゃったのかというお話もお聞かせいただけませんか?

 

白川:そうですね。僕はもともと関西出身で大阪の大学に行って、卒業してから工場を持つような地元の機械製造メーカーに就職しました。

 

松島:ITじゃないんですね。

 

白川:ITじゃないんですよ。コインロッカーとか、両替機やATMとかそういった物を作っている会社のソフトウェア部門に入ったんです。開発センターという実際のプロダクトを作るところと、研究開発の間くらいを担ってました。プログラムが大好きだったので、エンジニアとして入ったんです。プログラムが大好きだったんですけど、後輩が入ってきてからは、マネジメントに仕事が移り、結婚し子供も産まれるというタイミングでちょうど人生の転換期でした。

そんなタイミングで、結構年功序列が強い会社だったこともあり、このままでいいのかと考えました。そんな時Yahoo! JAPANのサイトを見ると、中途採用募集をしていて、応募したら合格ですという話になって、Yahoo! JAPANに入りました。

最初はYahoo! JAPANで初めて個人のお客様から利用料をいただくというプロジェクトの最初のエンジニアとして仕事をしました。お金周りの開発をずっと10年間くらい担当して、リーダーになって開発部長になってというキャリアを進めてきました。

その後、プラットフォーム戦略を考える部署を経験したり、Yahoo! JAPAN全体の品質改善と標準化を進める部署の初代室長を任せてもらいました。

そして、コマースですね。Yahoo!ショッピングとヤフオク!の開発部長を担当しました。

その中で、ショッピングでオフショア開発をやろうということで、業務委託のパートナーと組んでベトナムで開発チームを立ち上げを担当。

現地法人化については、現地法人化の企画から、立ち上げまでを行い、今のポジションにいます。

 

松島:どれくらいの準備期間で立ち上げは進められたんですか?

 

白川:企画を作ったのが去年の7月くらいからなので、1年ですね。

 

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僕たちのビジョンを心から信じて実行できる人を評価します。

 

松島:こちらで立ち上げを行うにあたり、ベトナム人の採用をする時にはどんなポイントを重視されていますか?

 

白川:僕が面接の時に話すことは、日本とそんなに変わらないと思います。まずリラックスしてほしいので、リラックスするフェーズ、技術的なスキルを確認するフェーズと、人物面を確認するフェーズ。そして、先方からの質問を受ける、最後に必ず念を押しておきたいポイントを確認する。このプロセスはあまり変わらないです。

しかし、技術的なスキルを確認する時に、履歴書には書いていても、実際はこちらのニーズと違う可能性もあるので、そこは少し深めに聞きます。

あと人物面は、ベトナム語で話せないので、フィーリングが合う人。考え方とか表情であるとか、この会社や日本人に対してプラスに考えてくれているか、そういうところを確認しますね。

 

松島:共感してもらえるか、というのは重要なポイントですね。

 

白川:そうですね。入社後の評価についても、僕たちのビジョンを心から信じて実行できる人を評価します、とずっと言っています。そういう人に入ってほしいです。

 

松島:そうですよね。実際に働いている方はどうですか?

 

白川:そうですね、みんな明るく見えます。比較的モチベーション高く保って働いてもらってると思います。

 

 

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ベトナム人も日本人もお互いに成長できる経験を提供したい。

 

松島:また、御社の最も大きな特徴というのは日本人が身近にいることだと思うのですが。日本人は何人くらいいますか?

 

白川:今6人くらいですね。

 

松島:日本人の技術やマネジメントのもとで一緒に働けるというのは大きな強みだと思うのですが、日本人は今後も増やしていかれるご予定ですか?

 

白川:日本人社員は実は2人しかいないんです。ただYahoo! JAPAN側の立場で、品質管理などのために出張に来てもらう駐在員は、担当するサービスが増えると増えていくと思います。あと、駐在員は単に品質管理の為ではなくて、人材育成の場だと捉えています。海外で数ヶ月間、言葉があまり通じない人たちとコミュニケーションをとって仕事をするという経験は、その後の仕事にすごく役に立つと思うんですよね。

 

松島:Yahoo! JAPANの日本人のみなさんにとっても素晴らしい体験になるということですよね。

 

白川:そうするとWin-Winな関係になれますよね。ベトナム人のメンバーも日本人のメンバーも。やっぱり日本側のマネージャーと話すと、駐在員を置くとコストがかかるって言われちゃうんですけど、いやいやそこは人材育成の場です、という風に伝えていて、そこに共感してくれる人もだんだん増えてきた感じですね。

 

松島:日本の方にとっても、「Techbase VietNamで何ヶ月かトライできる」というようなことが制度としてもっと成熟していけると。

 

白川:いいですね。

 

松島:素晴らしいですね。ベトナム人の育成の観点はみなさん意識されますが、それに関わる日本人も実は育成されているんだという意識はあまり聞いたことがなかったので、いいなと思いますね。

 

白川:日本では考えられないこととか、初めての体験が多くできますよね。やっぱり初体験すると考えさせられるので、この年になって成長できるんだって実感しました。

日本でもビジネスが急速度で伸びているタイミングとか特殊な環境だと、“初”っていうのは多いと思うんですけど。海外に出れば“初”が否応なくあるという環境になりますよね。

 

松島:白川さんご自身は、今まで海外で働かれたご経験は?

 

白川:実は無いんです。

 

松島:無いんですね。白川さんが今こうやってベトナムに来てみて、もし海外に出るか悩んでいる人たちに海外に出ることの魅力を伝えるとしたら、どう伝えますか?

 

白川:そうですね。自分がやりたいことが見つかった、ということが、僕には一番大きかったです。大きな決断をして海外に行くと決めて、そこでやるべきことが見つかったというのはすごく大きな部分で。

生活の基盤である仕事があれば、新しいチャレンジができますし。バイタリティとか、明るさや前向きさとか、そういったものがあればなんとかなる。

 

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Techbase VietNamを軌道に乗せて、周辺国へも展開していく。

 

松島:白川さんご自身の今後は、どのように考えていらっしゃいますか?

 

白川:ずっとベトナムかというとまだわからないんですが、とにかくTechbase VietNamをちゃんと軌道に乗せて大きくして、ベトナムで上手くいって周辺国で環境が整えば、そっちにも展開ということは考えていています。ひょっとしたらそっちに行っているかもしれないですね。

 

松島:Techbase VietNam起点の海外事業所のような計画なのですね。以前ベトナムの現地の大学との提携も、今後長い目で見た時に考えていらっしゃるとおっしゃっていましたが、具体的にはどのようなこと考えていらっしゃいますか?

 

白川:優秀な方に僕たちの仲間に入っていただきたいので、中途採用だけでなく、新卒採用も将来的に考えていきたいと思っています。その為には我々のスタイルとかビジョンとかを理解してほしいし、直接メンバーとコミュニケーションをとってほしい。その手段として、授業を持ったりすることは非常に有効なのではと考えています。

 

松島:お互いにとって。

 

白川:そうですよね。なので「Yahoo! JAPAN学校」と大げさにやるかは別にして、方法としてすごく効果的だと思います。

 

松島:では学校に出向くかもしれないし、インターンの形も。

 

白川:そうですね。インターンみたいな形で来ていただくのもありですよね。

 

松島:最後に、ベトナムで働くということに挑戦しようか悩んでいる日本人の方々にアドバイスをいただけますか?

結構スキル面での問題は飛び込んでしまえば何とかなる部分も多いと思うんですが、やっぱり姿勢の部分で、こちらで活躍できるかどうかは違うと思うのですが。

 

白川:多様性を受け入れられるかどうかは重要なことですね。それは、受け入れられるだけではなく、フラットに理解するというのがあります。

現在の環境では、日本人が上の立場になることが多いと思います。僕は上にいる人が多様性を理解しているというだけではいけないと思っていて、お互いに学ぶ間柄であるということを理解していく必要があると思います。

多様性を受け入れ、かつフラットに理解する。フラットな思考をこちらが持っていればお互いの距離は必然的に縮まり、積極的なコミュニケーションや業務への成果、自己の成長にも自然とつながると思います。何が必要かと言えば、そういった考え方かなと思います。

 

松島:重要な考え方ですね。本日は貴重なお話をありがとうございました!

 

 

<取材協力先企業>

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Techbase VietNam Company Limited

Address: L8-14 Vincom Center Dong Khoi, 12 Le Thanh Ton and 45 Ly Tu Trong,

Ben Nghe ward, District 1, Ho Chi Minh cityy

Facebook:https://www.facebook.com/techbasevietnam/

 

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■Interviewer

ICONIC Co., Ltd

HRR Manager:松島 岳

URL:https://iconic-intl.com/

■writing

ICONIC Co., Ltd

桝田 亮