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第10回|アクションガイド:今始めるべき、ベトナム賃金管理の第一歩
本日は、特別連載「ベトナム賃金管理入門」の最終回、第10回をお届けします。
これまでの第1〜9回で、ベトナムでの企業経営や人事管理を預かる立場にある方々に向けて、賃金管理の基本的な考え方をお届けしてきました。
最終回となる今回は、「結局、何から始めればいいの?」という問いにお答えすべく、ベトナムで賃金管理を始めるためのアクションガイドとして、今すべき8つのTo Doを厳選してお届けします。
To Do 1. 社内の声に耳を傾ける
「最近、昇給制度についての質問が増えた」
「同業他社の方が上がってるらしい」
「以前は集まっていた求人が、最近は条件を変えても集まらない」
こうした声が、現場から聞こえてきていませんか?
制度や給与水準にズレが生まれているサインかもしれません。
まずは、自社の人事担当のベトナム人社員とざっくばらんに対話する場を設け、社内の人事周りの違和感に意図的に耳を傾けてみましょう。
現場でどんな違和感や課題感があるのか?
あるいは、そういった声が上がっていないとしたら、現状を健全と捉えて大丈夫か?
ざっくばらんな会話の中に、賃金管理の課題の芽が見えてくることも多くあります。
To Do 2. 自社の現状の給与分布をグラフ化する
最新の給与支給実績をもとに、給与額×職層で自社の現給与の散布図を作成してみましょう。縦軸=給与額、横軸=職層でグラフ化すると、いまの自社の給与バランスがひと目で見えてきます。
Excelで簡単に作れるので、まずはやってみるのがおすすめです。
To Do 3. 自社の現給与の散布図をじっくり眺めてみる
・同じ職層でもバラつきが大きすぎないか?
・職層をまたいだときに、給与の逆転がおきていないか?
・全体感で見た時に、違和感のある賃金バランスとなっていないか?
自社の今の給与分布をじっくり見つめ、感じたこと・気づいたことを、素直に書き出してみましょう。
To Do 4. 理想の賃金バランスを描いてみる
今のままでよいのか、それとも変えるべきか。
To Do 1でヒアリングした社内の声と、To Do 3の気づきを踏まえて、「こういう分布だったら理想的かもしれない」と思う自社にとっての理想の賃金バランスを描いてみましょう。
散布図を印刷して、手書きでペンを入れるだけでもOKです。
・どんな職層間のメリハリがほしいのか?
・どの職層を引き上げたいのか?
・散らばりすぎた分布をどう是正したいのか?
といった視点で考えて、思いのままに描いてみてください。
To Do 5. 社外の給与相場データを集める
給与相場は社内だけで判断しないこと。必ず、外部データを集めてチェックしましょう。
理想的には、複数の情報源から情報を集めて、情報の偏りを防ぐ努力をすることも大事です。無料で入手できる給与ガイドや、商工会・工業団地・業界団体などの調査も参考になります。
そしてぜひ、各企業における実給与支給額ベースの給与調査にもご参加を。回答協力に多少工数はかかりますが、企業が実際に支給した給与額をもとにした調査は、情報の信頼性が高い希少な情報源です。
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To Do 6. 自社の理想の賃金バランスと社外の給与相場を見比べてみる
To Do 4で描いた理想の賃金バランスと、To Do 5で集めた社外の給与相場データをじっくり見比べてみましょう。
グラフを合成できるExcelテクニックがあれば、2つの分布を重ねるとより明確に状況が把握できます。このとき重要なのは、仮に、給与相場とズレていたとしても、それが「意図的な逸脱」なのか? それとも「意図していないズレ」なのか?
この視点での見直しが、戦略的な賃金設計の第一歩です。
To Do 7. 理想の賃金バランスを最終化する
ここまでの検討を踏まえ、理想の賃金バランスを現実的な形に最終化し、これをもとに新年度の賃金レンジへアップデートします。社内外の視点をバランスよく盛り込んだ自社に相応しい賃金レンジがここで完成します。
To Do 8. 来年の給与見直しスケジュールを、カレンダー登録しておく
来年もまた、同じプロセスで点検を開始できるように、来年の給与見直しスケジュールを今のうちにカレンダー登録しておきましょう。
最後に
全10回にわたりお届けした連載も、今回で最終回となります。まずは、できることから、1つでも多く、上記のTo Doを「実際にやってみる」ことが何よりのスタートです。
その中で、やり方や進め方がわからない場合や、その他の観点でベトナムでの賃金管理に悩みを抱えている場合には、お気軽にICONICにご相談ください。弊社でサポートすることも可能です。
この連載が、ベトナムにおけるより戦略的な賃金管理の第一歩となれば幸いです。
全10回のご愛読、誠にありがとうございました!
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